フラッシュオーバー
火災によって発生した熱と可燃性ガスが部屋の中に蓄積し、だんだん高温になって燃焼範囲に入ったとき、
部屋全体がいっきょに燃えだし、火の海になる現象をフラッシュオーバー(FO)とよんでいます。
FO現象を言葉で写実的に表現するのは、なかなか難しいことですが、
視認される現象としてはまず黒い煙がちょうど入道雲のように「もくもく」といった感じで勢いよく吹き出します。
この段階では、まだFOまで間があります。次に煙が茶色を帯びるようになり、やがて黄色みがちになれば、
FO寸前であると考えなければならない。
煙が一瞬薄くなって陽炎のような現象が現示されればFOの直前で、
次の瞬間「ウオーン」という鈍い音をあげて(音もないこともありますが)
すべての開口部から火炎を噴出するに至ります。これがフラッシュオーバー現象です。
フラッシュオーバーは火災という燃焼現象の一過程ですから、消防が放水など手を加えることがなければ、
やがては現れる現象であって、別に特異なものではありません。
しかし、この現象が起こるきっかけはあります。開口部を作ること、あるいはできることです。
ドアを開けたり、窓を破壊したりすれば、それが引き金になります。
また開口部は必ずしも人為的に作られるだけでなく、自然にできることもあります。
たとえば加熱された窓ガラスが壊れるとか、アルミサッシの窓枠が溶解して窓ガラスが落下する、
あるいはアクリル性のドアが溶解するなど、これも開口部を作ったのと同じ結果を呼び込むことになります。
*ふつうガラスは表裏の温度差が70℃程度に達すると自然に割れる、火事場では燃
焼によるガラスの破損、つまり開口部ができることは常にあります、なおさらガラス
に注水すれば簡単にわれる。